新築の建売住宅を購入しようとしている人が、物件見学の際にチェックすべきポイントを紹介します。
間取りと場所、価格帯を確認してから現地に見学へ行く人が多いですが、物件の資料や現地では多くのことをチェックしなければなりません。資料や物件情報サイトなどを見てチェックすべきことと、現地でチェックすべきことにわけて紹介します。
広告や物件情報サイトからチェックすること
物件情報サイトやチラシ(広告)などからわかる情報は限られていますが、それでも意外と大事なことがわかることもあるものです。できれば、現地見学をする前にチェックしておきたいポイントを紹介します。
販売価格
正式に販売を開始して広告する場合、広告(インターネットの不動産物件情報を含む)には価格をのせることになっています。複数の棟数がある分譲地では、価格帯(○○○万円~○○○万円)が表示されているはずです。予算に合う物件か確認するためにも販売価格の確認は基本的なことですね。
複数の棟数があれば、希望の区画の価格がわかりづらいことがあります。不動産会社へホームページから問い合わせるときや電話するときに、遠慮せず聞いてみるとよいでしょう。
販売(分譲)棟数
販売される住宅の棟数も広告に記載されているはずです。棟数が多い場合は、選択肢の幅が広がりますが、1~2棟ならば限定されます。また、棟数が多いということは、整然とした区画で道路幅などの条件も住宅地として適したものであることが多いという予測ができます。
面積(土地・建物)
土地および建物の面積をチェックするのも基本的なポイントです。土地と建物の大きさから、庭などの広さもある程度は予測することができます。
間取り(部屋数・配置)
間取り図をチェックして、希望するものに近いかどうか確認しましょう。部屋数やリビング・寝室の位置など、リビングとキッチンの位置関係など、買主の希望やこだわりがあるなら、この時点で確認しておきましょう。
ただし、複数の棟数を販売している場合などに、全ての間取り図が掲載されていないことも多いものです。不動産会社へ問合せて事前に送付してもらえるのであれば、もらっておいた方が現地見学の際に落ち着いて確認しやすいです。
立地・環境
希望する地域を限定している人であれば、その地域性や環境などについて詳しいことが多いでしょう。そうでない場合には、立地・環境が希望どおりかよく確認する必要があります。
立地には、公共交通機関からの所要時間、スーパーなどの施設への距離・所要時間なども含めたものです。
また、整然とした街並みか、旧市街地のような入り組んだ街なのかなどの特徴は、GoogleMapとその航空写真の組み合わせで確認できます。現地を訪れる前にぜひチェックしておきましょう。
ハザードマップ
自治体のハザードマップを調べて浸水リスクなども見ておきましょう。多くの場合、「地域名+ハザードマップ」で検索すれば、確認することができます。災害の多い日本の住宅探しではやっておいた方がよいことです。合わせて断層の位置もインターネットで簡単に調べられますので、チェックしておきましょう(判明していない断層があることは理解しておいてください)。
用途地域
その地域性に詳しくない人ならば、ぜひ用途地域をチェックしましょう。用途地域を簡単に説明すれば、その地域について住宅地として形成していくのか、商業地としていくのか、工業地としていくのかといったことを都市計画で定めているものです。
この用途地域は、大きくわけて、一戸建て住宅が中心の地域(閑静な住宅街が多い)、中高層の建物(マンションやビル)が多い地域、これらが混在する地域、商業系の地域(商店街や繁華街など)、工業系の地域(町工場が多い地域と大きな工場が大きい地域がある)といったものがあります。
工業系の地域とは言え、町工場があるところでも住宅は数多くありますから、候補に挙がることもあるでしょう。閑静な住宅街に住みたいのに、工業系や商業系の地域であれば、イメージと違っている可能性が高くなります。
完成時期と引渡し時期
希望する入居時期が決まっている場合、たとえば、来年3月までに引っ越したいと言った場合、引渡し時期や完成時期の確認は重要です。未完成の建売住宅の場合、広告などに記載している時期よりも引渡し時期などがずれることもありますので、ゆとりある時期で検討すべきです。
既に完成してから長期間、売れ残りの状況であれば、「売れ残りの建売住宅を買うときの注意点」もご参照ください。また、工期が短い建売住宅ではトラブルが起こる可能性も高くなるので要注意です。「工期が短い建売住宅のリスク(突貫工事は避けたい)」をご参照ください。
現地の見学でチェックすること
次に、現地見学に行った際にチェックすべきポイントを紹介します。これは、自分の目で見て確認する項目と不動産会社に聞いて確認するポイントがあります。遠慮して質問できないようでは、マイホーム購入で失敗してしまうため、しっかり質問するようにしてください。
実際の部屋の広さ
慣れていないと、広告などで面積を見ていたとしても、数値だけではイメージしづらい人は多いですが、これは仕方ないことです。建物の面積も土地の面積も現地で実際の大きさをしっかり確認してください。
また、間取り図に記載されている畳数と買主が現地見学したときに受ける印象と相違するという話を聞くことは少なくありません。間取り図にとらわれず、見学の際には各部屋の広さをしっかりチェックしてください。気に入った物件については、設置する家具や電化製品の大きさと設置スペースの寸法はきちんと確認しましょう。
使い勝手・家事動線
使い勝手は間取り図だけでイメージしづらいこともありますから、現地で生活する様子をイメージしながら、検討しましょう。家事動線は実際に動いてみて確認するとよいでしょう。
駐車スペース
駐車スペースが十分か、道路と駐車スペースの車の出し入れに問題ないか、道路が狭くないか(他人が植栽などを置いて狭くなっているところもあるので幅員だけにとらわれてはいけない)といったことも確認すべきです。
また、近所で時間帯によっては子供たちの自転車が道路に多く止められていることがないかもチェックしたいところです。もともと道路幅が狭い上に自転車などがあれば、通りづらいですね。
日照・風当り
日照や通風は、多くの人が確認していることでしょう。ただし、一度だけの見地見学では把握しづらいことがあります。また、夏と冬の日照は大きく違いますから、季節による違いも意識して見学してください。
プライバシーの確保
隣近所から建物内が見やすくないかも確認してください。建物内に限らず、敷地内(庭など)のプライバシーも重視したいなら一緒に確認が必要ですが、敷地内のプライバシーが高い方が防犯上はデメリットになることもあるため、よく検討しましょう。道路から死角になっているドアや窓が狙われやすいからです。
また、屋上バルコニーでゆっくり過ごすことをイメージして購入したものの、近くのマンションから丸見えで使いづらいという声もありました。住宅の使い方とプライバシーの問題は関連性が高いですからよく考えましょう。
建物の施工不具合の有無
最初の見学時でなくても構いませんが、契約する前に一度は、建物の施工不具合の有無についてもチェックしておきましょう。
買ってから不具合が多いことがわかると、その対応に大変なストレスが溜まりますし、時間も労力も浪費します。売主の対応次第では、いつまでも解決せずに、購入したことを後悔する人もいます。できれば、一級建築士などの専門家に依頼して、ホームインスペクション(住宅診断)をしてもらうことを考えてください。
施工不具合の有無に関する具体的なチェックポイントは、以下を参考にしてください。
- 住宅診断のチェックリスト(新築・中古)建物外部
- 住宅診断のチェックリスト(新築・中古)床下・屋根裏編
- 住宅診断のチェックリスト(新築・中古)玄関・居室等編
- 住宅診断のチェックリスト(新築・中古)台所・洗面等編
- 住宅診断のチェックリスト(新築・中古)和室・設備編
外構(フェンス・塀の状態)
見学の際には、建物本体のチェックに意識が偏りがちですが、実は外構の確認も大事です。一度目の見学時に気が周らなかったとしても、二度目には必ず確認してください。
具体的には、隣地や道路との境界にあるフェンスや塀、駐車スペースの土間コンクリート、玄関ポーチのタイルなどです。ホームインスペクションしていると、何度も危険なフェンスや塀が見つかっているため、大事なチェックポイントだと考えてください。
境界・越境物
購入した後によくあるトラブルに、境界位置や越境物の問題があります。裏の家の敷地から雨水が自分の敷地内に大量に流れてくるけど、その雨水を受ける側溝は裏の家の所有物。しかし、清掃などの管理をしてくれないので、水が詰まって庭にあふれてくるという相談を受けたことがあります。
溝や塀、擁壁などがどちらの所有物になるか、境界線どこなのか、不動産会社から説明を受けるようにしてください。
現状の販売(分譲)戸数
広告には、分譲地の販売棟数が記載されていますが、見学時点でどれくらいの棟数が残っているのか聞いておきましょう。売れ行きが良いかどうかは、価格交渉に関係がありますし、あまりに売れ行きが悪いと資産価値にとってはマイナス要素となりうるからです。
ただし、棟数が非常に多いと、何期にも分けて販売するため、実際に売れ行きが良いかどうか判断しづらいこともあります。
今回は、建売住宅の物件見学の際に確認すべきチェックポイントに絞って紹介しましたが、これだけでもポイントが多いですね。まだ、探し始めてばかりの人ならば、急いで物件を決めて契約せず、何軒も見て見る目を慣らしていくことも考えてください。物件チェックに慣れてからが、あなたの買い時かもしれません。
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- 新築住宅の引渡し時の書類チェックリスト
- オープンハウスの基礎知識とメリット・デメリット、見学するときの注意点
執筆者
ホームインスペクションのアネスト
住宅の購入・新築・リフォーム時などに、建物の施工ミスや著しい劣化などの不具合の有無を調査する。実績・経験・ノウハウが蓄積された一級建築士の建物調査。プロを味方にできる。