よく利用して頂く第三者のホームインスペクション(住宅診断・住宅検査)サービスの1つに、住宅あんしん工程検査(建築中の住宅検査)があります。一戸建て住宅の着工から完成するまでの間に、一級建築士が何度も何度も検査に入るサービスです。
この建築中の住宅検査(ホームインスペクション)は、工事が始まった後に初めてアネストに問合せされ、工事の途中から依頼される方も多いです。本当は着工前からご依頼頂くのがよいですが。
工事が始まっている現場では、どんどん工程が進んでいきます。今の時代、住宅の工事の進行は非常に早く、2カ月あれば完成してしまうことも多いです。着工後の住宅の検査を依頼される場合、できる限り早めに動いて頂く必要があります。
工事が進んでいくと隠れて見えない箇所が増えていくために、急ぎの対応が必要なわけですが、重要な検査項目で隠れる前に見ておきたい工程がどの工程であるか知っておいてください。
基礎コンクリートの打設前(基礎配筋検査)
重要な工程の1つに、基礎の配筋工事があります。基礎が大事であるのは誰でも想像できるかもしれませんが、基礎の工事にもいろいろあり、そのうちコンクリートを打設する前にこそ検査(インスペクション)しておきたいものです。
基礎配筋は、鉄筋と鉄筋の間隔やかぶり厚さの確保、鉄筋の定着など多くの重要な項目をチェックしなければなりません。建売住宅の売主や注文建築の建築会社が依頼している検査機関の検査(建築確認に基づく検査や性能表示制度の検査、瑕疵保険の検査を含む)では、この大事な基礎配筋も一部を簡単に確認する程度であり、細かくは見てくれていません。
アネストが検査に入ったときに、これらの検査で合格した現場であるにも関わらず、指摘事項がいくつもあがることはよくあることです。
この基礎配筋はコンクリートを打設してしまうと見えなくなるため、ぜひ打設前の検査を利用して頂きたいです。
1階の床張り前(床下や土台の検査)
次に1階の床材を設置する前に検査を入れたいものです。床材を設置してしまうと、床下を確認しづらくなります。完成後の内覧会立会い・同行サービスをご利用頂く際に床下の詳細調査(オプション)を付けて頂くと床下内部の検査も行いますが、床張り前であればオプション料金なしで確認できるうえ、このタイミングの方が広範囲に確認可能です。
また、アンカーボルトの施工ミスが発見される場合がありますが、少しでも早いタイミングでこのような施工ミスを見つけた方が補修等の対応もしやすいものです。
1階の床張り工事は一般的には上棟する前に実施されるため、基礎コンクリートの打設が終わっている住宅であれば、早期に実施しなければなりません。
外壁面の断熱材の施工前(構造躯体と金物の検査)
建物について心配される場合、構造躯体が大事であるのは当然のことです。構造躯体は基礎もそうですが、柱や梁、筋交いなどもそうです。この構造躯体の検査では、できれば金物の設置個所や取り付け状態も確認すべきものです。
ただ、外壁面の断熱材が施工されていくと、金物が見づらくなっていきます。金物の検査を十分にするためにも断熱材の施工前に確認しましょう。
このタイミングで検査する具体的なチェックポイントは「構造躯体(構造金物・柱・梁・筋交い)の立会い検査のチェックポイント」を参考にしてください。
壁下地材の施工前(外壁断熱材の検査)
最後に、外壁面の断熱材の検査です。室内側の壁面に下地材(ボード)を設置していくと、壁の内部が見えなくなります。柱や梁といった構造材が見えなくなるのはもちろんですが、断熱材も確認できなくなります。ちなみに、床下や屋根裏の断熱材は後からでも確認できます。
外壁の内部には断熱材が施工されるはずですから、室内壁の下地材施工前に検査を入れるようにしましょう。断熱材は住宅の施工過程のなかでも最も施工ミスが起こりやすく、その建物の断熱性能にも大きく影響することですから、下地材の施工前に見ておきたいところです。
建築中の住宅検査(ホームインスペクション)で工事が進んで隠れてしまう前にチェックしておくべき箇所、検査のタイミングを4点あげました。いずれも重要な工程ですから、検査を依頼する場合は慎重に検討してください。
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執筆者
ホームインスペクションのアネスト
住宅の購入・新築・リフォーム時などに、建物の施工ミスや著しい劣化などの不具合の有無を調査する。実績・経験・ノウハウが蓄積された一級建築士の建物調査。プロを味方にできる。