築10年の鉄骨造の中古住宅のホームインスペクション

アネストで実施したホームインスペクション(住宅診断)の事例のご紹介です。

今回は築10年の鉄骨造の中古住宅のホームインスペクション(住宅診断)へ行ってきました。中古住宅とはいえ、今回の対象物件は不動産会社が売主です。不動産会社が買い取った物件を再販しているのですが、一般個人の売主から購入する場合と異なる点があります。

それは、中古住宅なのに指摘事項を売主に補修対応してもらいやすいという点です。もちろん、指摘内容や売主の販売条件などにもよるため、全ての物件において同一ではありません。不動産会社が売主となっている中古住宅を購入される方は、条件をよく確認してください。

建物の外観から調査を始めましたが、外部にはこれといって大きな指摘事項はありませんでした。基礎コンクリートに小さなひび割れ(クラック)があったことと外壁サイディングの目地の劣化が目立っていた程度です。いずれにも築年数が10年であることを考慮すれば、一般的な経年で生じたものでありメンテナンスすれば問題はありません。

断熱材の欠損箇所

建物内部の調査では、天井裏に大事な指摘事項がありました。

それは断熱欠損です。

断熱材の欠損

点検口から見える一部の壁面(写真の奥の壁)に断熱材がありません。他の壁面にはあったのですが、この写真の位置には断熱材がないため、新築工事の際にこの位置については設置漏れがあったと考えられます。

中古住宅の診断をしていくなかで、新築工事で起こっていた問題を見つけることはよくあることです。

室内の調査ではほかにもいくつか細かな不具合が見つかりました。

例えば、洗面台の収納扉の動作不良や浴槽の止水栓の動作不良です。ただ、この物件は売主が不動産会社ということもあり、これらについては無償で補修して頂けることになりました。また、扉の戸当たりの一部でクッション用のゴムが外れてなくなっている個所がありましたが、これも無償で対応して頂けることになりました。

こういった細かなことでも売主負担で購入できるのは、不動産会社が売主である物件で見られることのあるお得な点です(物件によって条件が異なる)。

畳の下地材の染み痕(結露)

もう1つ注意が必要な指摘も見つかりました。

それは、和室の畳の下地材の状況です。

20160705tatami

この下地材の表面が湿っています。結露した可能性が考えられる状況でした。

但し、まだカビも確認されず下地材そのものも劣化しているわけではなかったため、畳をあげてしっかり乾燥させれば問題ないと判断されるものでした。気づかず放置してればカビなどの被害拡大もあった可能性があります。

今回のホームインスペクション(住宅診断)では、一部で断熱欠損や畳下地材の問題はあったものの、築年数相応の状態を保っており、大きな問題もない調査結果でした。

中古一戸建て住宅診断(ホームインスペクション)
中古住宅のホームインスペクション

関連記事

執筆者

アネスト
アネスト編集担当
2003年より、第三者の立場で一級建築士によるホームインスペクション(住宅診断)、内覧会立会い・同行サービスを行っており、住宅・建築・不動産業界で培った実績・経験を活かして、主に住宅購入者や所有者に役立つノウハウ記事を執筆。