構造見学会とホームインスペクション

新築住宅の建設中に開催されることがある構造見学会ですが、これは、第三者の建築士にホームインスペクション(住宅検査)をしてもらうには、最高のタイミングであることが多いです。なぜなら、建物の重要部位である構造躯体を現地で確認できる機会は、その部位を検査するのに適しているからです。

建築中の建売住宅を契約した人や、注文建築の家の工事請負契約を締結した人向けに、構造見学会の目的や内容、重要性を理解できるように解説し、この機会を無駄にしないためにホームインスペクションを利用することの有効性について解説します。

建築中の住宅検査
建築中の住宅検査で施工ミスを回避

構造見学会とは何か?その目的と内容を解説

構造見学会とは何か?

新築住宅の建設中には、構造見学会が開催されることがありますが、このイベントについて正しい知識を得ておかないと、せっかくの重要機会を無駄にしてしまうことがあるため、ここで基礎知識を確認してください。

実施タイミング

構造見学会が実施されるタイミングは、上棟した後、構造金物を取り付けた直後くらいの時期であることが多いです。柱や梁、筋交い、構造用の面材などを現地で直接に見ることができる工程のときに行います。これらは、その後の防水シートや断熱材の施工を進めると目視することができないものですから、これだけでも貴重な機会であることが理解できますね。

一級建築士

上棟とは、屋根の一番高いところにある棟木を設置する作業のことで、棟上げとも言われます。このときに上棟式(棟上げ式とも言う)を行う人も多いです。

構造見学会の開催目的

構造見学会が何のために開催されているのか、その目的から説明します。ただ何となく終えてしまうことが内容に目的を理解しておきましょう。

建物構造の工事進捗と品質の確認

その住宅の買主または施主が、上棟して構造金物を取り付けした時点で、建築工事の過程や使用されている材料の状態、施工品質を確認する目的で開催されることが多いです。

透明性の確保と買主の満足度工法

建設会社、ハウスメーカー側としては、普段は、なかなか見ることができない現場の様子を買主などに公開することで、透明性をアピールすることができ、顧客満足度を高めることもできます。お互いの関係構築、信頼度アップという点で効果が期待できるイベントです。

販売促進

ハウスメーカーによっては、その住宅の買主や施主の承諾を得た上で、構造見学会を一般公開することも少なくありません。来場した人に営業する機会を得られるので、企業によっては大事な販売促進活動の場と位置付けしていることもあります。

対象者

新築住宅の構造見学会は、基本的には建売住宅の買主や注文建築の施主を対象としたものですが、一般公開して誰でも参加できる形をとっているときは、住宅の建築を検討している人も対象となります。一般公開とはいえ、誰かの家だと思うと、あまり真剣に考えていない人はそれほど来場しないため、具体的に建築を検討中の人が参加する確率が高いと考えられています。

構造見学会でやること

構造見学会では、参加者が建設中の建物の構造躯体部分を現地で見学することができ、建築に関するさまざまな情報を得ることができます。その具体的な内容は、いかのとおりです。

構造躯体部分の目視確認

建物の柱・梁・筋交いなどの構造材とそれを留めている構造金物を目視確認することができます。天井材を施工する前のタイミングであれば、屋根裏スペースも目視できます。完成した後では、その多くの範囲を確認することができないため、ぜひ参加して確認しておきましょう。

専門的な説明を受ける

ハウスメーカーの設計者などが立会うことが多く、その立会い者から、構造部分に関する建築知識を中心に建物の仕組みなどについて説明を受けることができます。インターネットや書籍で読む情報と違って、現場で実物を見ながら説明を受けられることは、住宅の建物構造への理解を深めるために非常に良い機会だと言えます。

その場で気になること、わからないことを質問すれば、現場を見ながら回答してもらえることもメリットになります。

ハウスメーカーによって、その会社の特徴としている点について、解説することもあります。

電気コンセント・配線等の打ち合わせ

現場で、現物と設計図を見ながら、電気コンセントやスイッチの詳細な位置について打合せすることもあります。設計図だけではイメージしづらかったことを理解しながら、打ち合わせできることは買主や施主にとってメリットなりますし、ハウスメーカー側も誤解・誤認を解消する機会になりえるので、お互いにとって必要なことです。

施工品質のチェック

構造見学会では、その後の工程に進んでしまうと確認することが難しい柱や梁、筋交い、構造用面材などの施工品質を現地チェックすることができます。不安な点はどんどん担当者に質問して説明を求めるとよいですが、このタイミングで建築士などのホーインスペクターに依頼して、立会いしてもらい、代わりにチェックしてもらうことも有効です。

このように、構造見学会は建物の構造部分や施工品質、工事の進捗を現地で直接に確認することができ、設計者などから説明を受けることができる貴重な機会です。さらに、買主や施主はこの機会に、自宅の建築に関して理解を深めることができますので、積極的に参加するようにしましょう。

なお、構造見学会と似たものに、上棟立会いというものがあります。この2つは、基本的には同じ意味で用いられる言葉です。施工品質をチェックすべきポイントについては、以下に記載しているので参照してください。

構造見学会はホームインスペクションのチャンス

構造見学会はホームインスペクションのチャンス

構造見学会でやることの最後に、「施工品質のチェック」を挙げました。そこに「このタイミングで建築士などのホーインスペクターに依頼して、立会いしてもらい、代わりにチェックしてもらうことも有効」だと書きましたが、これは第三者の専門家によるホームインスペクションのことを指しています。

ホームインスペクションとは何か?

ホームインスペクションとは、建物の施工品質や劣化状態を専門家が診断する専門的な技術サービスのことで、新築住宅では、建築中に行う住宅検査もこのインスペクションに含まれます。建築途中に、施工ミスがないかチェックするわけです。

建築士がホーインスペクターとして行う

建築中に行うホームインスペクションは、一級建築士や二級建築士といった建築士資格を持つ者が行います。資格があれば誰でもできるというものではなく、設計や監理の経験と知識が問われます。設計ばかりしていた人や、住宅の経験がない人では対応が困難です。

構造見学会のタイミングでインスペクションをする意義

構造見学会では、すでに述べたように、完成後では目視することができない部分で、尚且つ、柱や梁、筋交いなどの構造耐力上、とても重要な部位の施工状態を直接に目視で広範囲に確認することができます。このようなタイミングは他にはないため、この機を逃すべきではないでしょう。

設計通りに柱・梁・筋交いなどの構造材が配置され、適切な構造金物で丁寧に施工されているか、構造用の面材が仕様どおりであるか検査することができます。

プロにチェックしてもらうメリット

この検査には、知識と経験が必要ですから、施主が自分だけで実行するのは無理があると言えますから、プロのホームインスペクターに依頼する意義があります。自分だけであれば、必要な設計図を渡されてもそれを読み解くことができない人が多いですし、それが現場と一致しているか確認するのは至難の業です。

プロに依頼すると費用がかかるものの、必要な検査を効率よく実行してもらうことができ、貴重な機会を最大限活用することができるメリットがあるのです。

建築中の住宅検査
建築中の住宅検査で施工ミスを回避

構造見学会に臨む前の注意点と準備

構造見学会の注意点と準備

構造見学会は、建築途中に建設現場に立ち入るわけですし、且つ、何度もない大事な機会ですから、適切な準備が必要です。また、トラブルを起こすことや、後悔することがないように注意点を知っておくことも大事ですので、解説します。

安全対策

見学中の安全対策については、実は買主や施主よりも、ハウスメーカーの方がしっかり気配りしているでしょう。万一、事故が生じて参加者に怪我をさせることがあってはいけないので、当然のことではあります。しかし、参会者側も基本的な安全対策について理解しておくことをおすすめします。

ヘルメットの着用

工事中の現場に入るときは、必ずヘルメットを着用してください。ヘルメットは、ハウスメーカーが用意するはずですが、念のため、参加する前に聞いておきましょう。

動きやすい服装

構造見学会では、建物プランなどにもよりますが、梯子を使って2階などへ上り下りすることがあります。この工程のタイミングでは、階段が出来ていないことが多いからです。また、いろいろな工事道具や材料が置いてあるため、服などをひっかけてしまうリスクもあります。

そのため、少しタイトなデザインで、動きやすい服装が最もオススメです。

ハウスメーカーの指示を守る

ハウスメーカーには現場の安全管理義務がありますし、そもそも知識と経験がありますから、たとえ施主だからといって勝手な振る舞いをすることなく、指示や注意事項をよく聞いて順守してください。勝手に動き回って床下や階下へ落ちてしまうことや、建築資材等を痛めてしまうことのないようにしましょう。

子どもの同行はおすすめしない

建築中の現場は、思っている以上に危険です。子どもを同行すると大人よりも怪我をするリスクは高いですし、子どもの様子を確認することに気を取られて、ゆっくり現場を確認できない可能性もあります。できる限り、子どもの同行は避けることをおすすめします。

実施日の工程を聞こう

構造見学会では、完成後には見ることができない柱・梁などを確認することができる点が大きなメリットです。しかし、ハウスメーカーと施主側でスケジュールが上手く調整できず、本来の実施時期を逸してしまうと、そのメリットの一部または全てを失うこともありえます。

「柱・梁などの構造材と構造金物の状態を確認できるタイミングで実施するか?」と聞いておきましょう。

以上、新築住宅の建設中に行う構造見学会とそのときに有効なホーインスペクションについて解説しました。そのときにしかない重要な機会であることを理解できたと思いますので、それを有効に活かせるかどうかはあなた次第です。しっかり、理解し、準備して対応しましょう。

執筆者

アネスト
アネスト編集担当
2003年より、第三者の立場で一級建築士によるホームインスペクション(住宅診断)、内覧会立会い・同行サービスを行っており、住宅・建築・不動産業界で培った実績・経験を活かして、主に住宅購入者や所有者に役立つノウハウ記事を執筆。