新築工事中の施主の疑問を解決

注文建築で新築住宅を建てるとき、設計者などと何度も打合せを重ねて、マイホームの間取りやデザインを決めていき、そのプランが確定すれば、いよいよ建築開始です。建築工事が始まってから、施主はそれまで深く考えていなかったことに気付いて、あれこれ調べることもあれば、不安になることもあります。

また、着工する前の建売住宅を契約した人も、工事が始まってからいろいろな不安、疑問が出てくることがあるものです。

マイホームの完成を待ち遠しく思う一方で、様々な不安や疑問も解決していきながら、完成を待つことになりますが、ここでは、そういった不安や疑問の解消に役立つようによくある疑問とその回答・解説を紹介していきます。

新築工事中のホームインスペクションに関する疑問

新築工事中のホームインスペクション

アネストでは、新築一戸建て住宅の工事途中にもホームインスペクション、つまり施工不具合の有無をチェックする住宅検査サービスをしていますが、そのホームインスペクションに関してたくさんの質問をお受けしています。そのなかから、工事途中に特に多い質問・疑問とその一般的な回答を紹介します。

新築一戸建て住宅の工事中にホームインスペクションを依頼する人は多いか

新築一戸建て住宅を建築する人や建売住宅を購入する人から、「完成後に依頼する予定だったけど、工事途中にも依頼できるか?」「周り完成後の内覧会に立会いを依頼した人は多いけど、建築中に依頼した話はあまり聞かない」などと言われることがあります。

しかし、アネストでは、全国各地で大変多くの人より、着工時から完成までの間のタイミングでホームインスペクションの依頼を受けております。年々、増える傾向にあり、工事中の第三者検査の利用は珍しいことではありません。

新築アパートの工事中の検査依頼は多いか

新築一戸建て住宅とは違って、アパートでも工事中の検査依頼をする人がいるかと相談を受けることも少なくありません。もちろん、一戸建て住宅に比べると依頼件数は少ないですが、それは供給される棟数はアパートの方が少ないわけですから当たり前のことですね。

新築アパートであっても、第三者検査、つまりホームインスペクションを利用する人は多いです。賃貸後、入居者からのクレームがあると対応が大変ですから、そういったリスクを抑える目的でも利用している人はいます。

工事の途中からインスペクションを依頼できるか

よくある相談の1つが、「もう工事が始まってしまっているが、今からでも依頼できるか?」というものです。着工する前に検査依頼する準備をしておければ理想かもしれませんが、その頃は大変忙しくて、考えておく時間を取れなかった人は少なくありませんし、着工後にはじめて不安になる人も多いです。

工事の途中からでもインスペクションを入れることは十分に可能ですので、前向きに検討してみてください。ただし、最初の検査時点で隠れて見られない部分については判断できないので、その点は理解しておきましょう。

建築会社(工務店)が嫌がらないか

第三者のホームインスペクション業者を入れると、「建築会社(工務店)が嫌がるのではないか」とか「気まずくならないか」「疑っていると思われるのではないか」といった疑問の声を聞くことも多いです。

確かに、まだまだ嫌がる建築会社もいますが、工事中に施主側で検査を入れることは普及していますし、安心・安全のために対応をとっておくことは、自然なことですから、あまり建築会社に対して遠慮しすぎない方がよいでしょう。

建築中は建築会社が敷地を管理している状態ですから、ホームインスペクションを入れるなら、建築会社の了解を取っておく必要はありますが、それを拒否する業者は少数です。抵抗感のある反応を示す人は少なくありませんが、そこは気にしすぎず、しっかりと要望を意思表示するとよいでしょう。

おすすめの検査タイミングを知りたい

ホームインスペクション(住宅検査)を利用するなら、おすすめの検査タイミング・項目について相談を受けることは非常に多いです。これは、構造・工法・プラン、そして検査にかける予算によって異なることですので、ホームインスペクション業者に設計図を提示して相談することをおすすめします。

基礎だけでも、配筋検査やコンクリート打設時、型枠撤去後などの検査タイミングがあるので、専門家に相談して調整するべきです。

工事中に現地見学したいときの疑問

工事中に現地見学したいときの疑問

マイホームの工事が始まると、途中で現地見学して状況を見ておきたいと考える人は多いです。建築の専門知識がないなりに、状況把握したいと考えるのは、投資額が大きいだけに当たり前の発想とも言えます。そのほかに、現地見学に関する疑問を持つ人も少なくないので、紹介します。

新築住宅の工事中に見学できるか

新築工事中の現場は、危険です。いろいろな部材が仮留めの状況の時も多いですし、釘や工事道具などで金属系の固い物、重い物も多いです。知識や経験がないと、どういった所にどのような危険があるか察知することも難しいでしょう。

それだけに、工事中の現場については、建築会社の許可もなく立ち入って現場を見学することはやめておくべきです。たとえ、土地の所有者が自分であっても危険であることに変わりありません。勝手に何度も立ち入るようなことがあれば、現場の管理責任も曖昧になってしまいますね。

見学するときは、必ず建築業者の許可を取り、その管理・指導の下に対応するようにしてください。

工事中は危険なので立ち入り禁止と言われたがそういうものか

前述したように、工事現場には多くの危険があるため、建築業者が施主相手であっても立ち入り禁止と言うこともあります。しかし、どのような状況下でも禁止というわけではないはずですから、事前に立ち入りする理由を説明して許可を取るとよいでしょう。

安全性の問題から、施主といえども自由にできないのは仕方ないことです。

工事が休みの日に見学してよいか

多くの工事現場では、日曜日は工事を休んでいます。他にも様々な理由から、工事を止めている日があります。そういった工事が休みの日なら見学してよいかと聞かれたこともありますが、これも勝手に見学することはよくありません。

仮留めしている部材が倒れてくるなどのリスクもありますが、何かがあって大けがをしてもすぐに気づいてくれない問題もあります。以前に、外部足場に勝手にあがって落下したという人もいましたが、絶対にやめておきましょう。

新築一戸建て住宅診断(建売のホームインスペクション)

今さら聞きづらい新築戸建て住宅の着工後の疑問

新築住宅の工事中に感じる他の疑問についても回答とともに紹介しておきます。本来は、恥ずかしいことでもないので、建築業者などにストレートに聞いても大丈夫なことです。しっかりとコミュニケーションを取りながら良い家づくりを目指していきましょう。

工事中の電気代・水道代の負担は誰がするか

建築工事中には、電気も水道も使用しますので、その費用負担がどうなるか気になることもあるようです。これについて、何か特別な取り決めがない限り、一般的には建築業者の負担です。建築工事の見積りを出すときには、そういったコストも考慮しているはずですので、気を遣う必要はないですが、気になるならズバリ聞いてみてはいかがでしょうか。

完成・引渡し後に施工不具合が見つかり、その補修工事や補修後の確認などに電気・水道を使用する場合、電気等のライフラインは施主(そのときの所有者)に請求がくる形でしょう。少額の場合、特に建築業者に負担を求めることはないかもしれませんが、あまりに金額が大きくなる場合は、費用負担について建築業者に相談しましょう。

建築業者のミスなどで電気代などが高くなるようであれば、その負担をしてもらえる可能性は十分にあります。

工事中に差し入れを持っていくべきか

工事中には、大工さんなどへ差し入れを持っていく方がよいと聞いた人は多いでしょう。これは必須ということではありませんが、そういったケースはまだまだ多いものです。

気分よく作業をしてもらったり、互いのコミュニケーションをとったりするために、プラスに働くことがあるので、個々の判断で差し入れするのもよいでしょう。あまり大層なものより、ミネラルウォーターやお茶などの方が互いに気楽でよいです。その他のドリンクは好みもあるので、それを把握していないときは無難なミネラルウォーターやお茶がおすすめです。

遠方で現場に顔を出せないときに、差し入れを持っていけないと気を遣う人の声をきいたこともありますが、そこまで気にするようなことではありません。

建築途中に建物プランの変更をできるか

新築工事が始まってから、「やっぱりこうしたい」と変更の要望が出ることが少なくないのが、新築住宅というものです。しかし、これは様々なトラブルを生んでいる問題でもあり、慎重になってほしいです。

建築業者によっては、契約時や着工直前に、「建物プランの変更をしない」と明記した書面を用意し、書面を求めることもあります。トラブルが多すぎて、そういった対応を取っている可能性が考えられます。

ただ、基本的には、建物プランの変更の可否は、施主と建築業者が話し合いによって取り決めるべきものです。その時の工事進捗によっては、希望の変更に応じるには手戻り作業が発生することや技術的に難しくなることなどを理由に難色を示されることもあるでしょう。

また、変更工事にかかる費用が施主の予算に収まるかどうかの問題もあります(早めに申し出た変更は内容次第で追加費用が生じないこともありうる)。そして、変更内容次第では、建築確認申請の変更が必要なこともあり、予算・完成時期の遅れなど様々な関連する問題が生じてきます。よく建築業者と相談して判断しましょう。

中間立会いとは何か

工事が進んでいくと、建築業者から中間立会いの日程調整をしたいなどと言われることがあります。中間立会いは、その業者によって微妙に違った意味で話していることもありますが、基本的には工事の途中で施主に現場の状況を確認してもらったり、構造等の説明をしたりする機会です。

上棟後の状態で行うことが多いですが、その他のタイミングで実施することもあれば、2~3回実施することもあります。逆に1回もやらないこともあります。

完成検査立会いとは何か

建物完成後、引渡し前のタイミングで出来上がった建物を施主が確認する機会を完成検査立会いや内覧会、確認会などと言います。このときに、施工不具合がないか、注文通りに建築されているか確認することになります。

施工不具合を確認するには、建築知識と経験、ノウハウが必要なため、第三者の専門家に依頼する人も多いです。残金決済前の大事な機会ですから、検討するとよいでしょう。

施主検査・内覧会立会い
施主検査にアネストの一級建築士が立ち会う

執筆者

アネスト
アネスト編集担当
2003年より、第三者の立場で一級建築士によるホームインスペクション(住宅診断)、内覧会立会い・同行サービスを行っており、住宅・建築・不動産業界で培った実績・経験を活かして、主に住宅購入者や所有者に役立つノウハウ記事を執筆。