リフォームに第三者のホームインスペクション(住宅検査)が必要な理由

住宅をリフォームまたはリノベーションしようとするときの心配の1つは、「リフォーム業者が適切な工事をしてくれるのか?」「欠陥リフォームにならないか?」といった施工不良に関することです。

リフォーム業界は新築業界よりも洗練されておらず、意識の低い業者も多いため、新築住宅を買うときよりもリスクが高いと言っても過言ではありません。新築住宅に関わる建築トラブルが目立つことがありますが、実はリフォーム関連のトラブルも非常に多く、被害者は後を絶ちません。

一方で、リフォームの施工品質をチェックするサービスとして、第三者によるホームインスペクション(住宅検査)を依頼する人の数も増えています。工事前や工事途中、そして完成後に検査してもらうことでリスクを抑えようということです。

そこで、これから自宅をリフォームやリノベーションしようとするときに知っておきたいリフォームに第三者のホームインスペクション(住宅検査)が必要な理由をご紹介します。

下請けへの丸投げだけのリフォーム業者が多い

リフォーム・リノベーション業界には、営業部隊やバックオフィス部門だけをもっていて、施工を全て外注している業者も少なくありません。リフォーム工事の仕事をとってきたら、外注先(下請け業者)に丸投げしておわりという仕事の仕方をする会社に依頼してしまうと、元請け業者は現場管理も工事中や完成後の社内検査もしないと言うことが非常に多いです。

営業マンは建築知識に乏しく、そもそも社内に現場に詳しい者が全くいない会社もあります。そういった会社は、下請け業者にも「どうせ現場のことはわからないだろう」と思われていることもあり、手抜き工事の遠因になっていることもあります。

元請けが下請けの仕事内容をチェックしない、いや、できないということは、結果的にリフォームを発注した施主に被害が周ってくることになりかねないということです。

リフォームを発注する際には、その業者が丸投げ業者ではないことを確認するとよいでしょう。そして、適切な工事をしてもらうため、第三者のホームインスペクション(住宅検査)を入れておくとよい抑止力にもなるでしょう。

新築工事よりリフォーム工事は難易度が高い

リフォーム工事というものは、何もないところに新築するよりも簡単だと思われがちです。しかし、この考え方は多くの場合において間違っています。

リフォームは、当然のことながら既に存在する建物を変更・修繕などする工事です。既に存在しているものに手を加える工事は、その建物の状態やプランに応じて適切な工事計画を提案し、さらに工事が始まってからも適切に対応していく必要があるのです。

一方で新築工事では、何もないところに建てるため、プランニングの自由度は高いですし、工事が始まってから既存の建物に制約されることもありません。この制約の有無は難易度に大きく影響することがあるわけです(新築でもリフォームでも法規制や面積・形状等により制約はありますが)。

リフォームの難易度が高いことを理解せず、安易にリフォーム業界に参入した結果、多くの建築トラブルを起こすケースが頻発しているので注意しましょう。

こういった難易度の問題も、第三者の検査を利用することでリスクを抑えることができるでしょう。

小規模リフォームなら建設業の登録がない業者も多い

工務店の多くは建設業の登録をしていますが、請け負う工事の条件によってはこの登録をしていなくても営業できるため、参入障壁が低くなっています。具体的には、請負金額が500万円以下のリフォームは建設業の許可が不要です。

リフォーム工事がそれほど大きなものでない場合には、建設業の登録をしていない業者が請け負うことができるのですが、そういった業者のなかには現場管理や工事がいい加減なケースも多く存在するので注意しなければなりません。もちろん、登録している業者なら安心というわけではありませが、登録していないことは不安材料だと考えた方がよいでしょう。

解体して初めてわかる問題がある

解体してわかる問題

リフォーム工事は、既に述べたように既存の建物に手を加える工事です。工事の初めには、既存建物の一部を解体するところから始めることが多いですが、その解体工事をしたとき、それ以前では把握していなかった既存建物の問題点が見つかることが多いです。

たとえば、壁内に雨水が浸入していて柱や土台の一部が腐食していることや、シロアリの被害にあっていること、防水シートが破れていること、断熱材の一部がないことなど、考えられるケースは無数にあります。

解体前にこういったことまで全てわかっていれば、その補修等の工事内容等も考慮してリフォーム計画を立てられるのですが、残念ながら解体してからわかることも多いものです。

解体してからわかった問題であっても、それをきちんとリフォーム業者から施主へ報告して対応策を検討・提案して実行すればよいのですが、この作業を面倒だと考えてみて見ぬふりして工事を進めてしまう業者が多くて困ったものです。

工事が進んで見え無くなれば何も言われないなどと考える人がいることと、最初に取り決めていないことはやらなくてよいと勝手に判断していること、そもそも解体時に新たな問題がないか確認しようともしないことなどがあり、施主が問題に気づかないまま工事が進んでいることがあるのです。

結果的に、建物の耐久性や耐震性に問題を及ぼすこともあることですから、解体時点では第三者に現場を検査してもらうと効果的です。

完成検査よりも建築中や解体時の第三者検査がより有効

新築住宅の第三者検査は、着工から完成までの間に5~12回程度の検査を依頼する人が多く、平均で8回程度の検査を依頼しています。しかし、リフォームの第三者検査は新築に比べて工事が安いこともあって、それだけ多くの検査を依頼するのは工事費に対する検査費用の割合が高いこともあって、難しいですね。

リフォームでは、工事内容や規模によりますが、1~3回程度の検査を依頼する人が多いのですが、依頼者の皆様は完成検査を優先する傾向にあります。工事が完了した状況をチェックしてほしいというのは当然の考え方ですが、実は工事途中の検査を優先すると有効なことが多いです。

特に前述した解体時の検査では、その後の工事内容の変更も検討すべき重大な問題が見つかることもありますから、優先したい検査です。

ホームインスペクション(住宅検査)に依頼に際しては、検査回数・予算・工事内容を伝えたうえで、適切なタイミングを提案してもらうとよいでしょう。

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アネストの住宅インスペクション

執筆者

アネスト
アネスト編集担当
2003年より、第三者の立場で一級建築士によるホームインスペクション(住宅診断)、内覧会立会い・同行サービスを行っており、住宅・建築・不動産業界で培った実績・経験を活かして、主に住宅購入者や所有者に役立つノウハウ記事を執筆。