耐震診断の依頼の流れと図面無し物件への対応や注意点

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耐震診断の依頼の流れと図面無し物件への対応や注意点

Last Updated on 2021-9-16

主に木造住宅を対象とした耐震診断に関して解説しています。前回(木造住宅の耐震診断の基礎知識と費用・料金)の記事を読んでいない人はそちらも参考にしてください。今回は、前回の続きとして、依頼の流れや耐震診断に必要な図面がないときの対応方法、そして実際に利用する際の注意点を解説します。

耐震診断の依頼の流れと図面無し物件への対応や注意点

耐震診断の依頼と流れ

耐震診断を依頼する際の流れを解説しておきます。依頼を検討しているならば、基本的にはこの流れで進めるとよいでしょう。

自宅を耐震診断するとき

所有している自宅や相続した実家について耐震診断をするときは、以下の流れで進めてください。

  1. 保管している図面が無いか探す
  2. 図面に筋交い等が明記されているか確認する
  3. 自治体のHP等で補助金の有無を確認する(対象なら役所に内容確認を)
  4. 耐震診断業者に問合せて見積りをとる
  5. 耐震診断業者に依頼する

耐震性に関わる点以外でも、住宅の耐久性や快適性などにかかわる劣化状況を把握したいのであれば、一緒に住宅診断(ホームインスペクション)の利用を検討し、両方に対応する業者に依頼した方が楽で効率がよいです。

中古住宅の購入時に耐震診断するとき

次にこれから購入する中古住宅に対して耐震診断をする際の流れです。

  1. 耐震診断を実施することについて売主から了解を得る
  2. 保管している図面が無いか売主に確認する(探してもらう)
  3. 入手した図面に筋交い等が明記されているか確認する
  4. 自治体のHP等で補助金の有無を確認する(但し、一般的には購入前は対象にならない)
  5. 耐震診断業者に問合せて見積りをとる
  6. 耐震診断業者に依頼する

上のように自宅の場合と大きく変わるわけではありませんが、購入前ですから売主に協力してもらう必要があります。売主への協力依頼は不動産業者からしてもらうようにお願いしましょう。また、一緒に住宅診断(ホームインスペクション)の利用を検討して同じ業者に依頼するのは自宅の場合と同じです。

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図面がないときの耐震診断(筋交いセンサーで調査)

筋交いセンサーというものが知っていますか?

図面が無い物件に対して耐震診断をするうえで利用価値のある調査機材です。これを使用した調査について解説しておきます。

図面がないと耐震診断が困難

図面が無いことが耐震診断の障壁

耐震診断をするために耐力壁(筋交い等のある壁)の配置を図面で確認することは既に述べた通りです。図面だけではなく、現地調査においても点検口などから確認できる範囲においては確認すべきことですが、現地での目視調査だけでは全ての耐力壁を確認できなので、図面が必要になるわけです。

しかし、古い住宅では図面が保管されていないことが多く、耐震診断(解体を伴わない一般診断法)をできない住宅が非常に多いです。住宅ローン控除を受けるために耐震診断をしたい人や純粋に耐震性を知りたい人にとっては、図面がないことが大きな障壁になっています。

そこで、1つの対応策として目視できない壁内の筋交いを専用のセンサーで調査して、それを耐震診断に役立てるという方法があります。簡易な壁裏センサーでは感知できない壁内の筋交いでも専用機材ならば感知できることも多いので、これが有効な住宅は少なくありません。アネストでも耐震診断(筋交い調査付き)として対応しています(地域限定)。

筋交いセンサーの基礎知識

筋交いセンサー調査の基礎知識

但し、筋交いセンサーによる調査も万能ではありませんから、以下のことを理解した上で依頼有無を判断しなければなりません。

  • 壁内の全ての筋交いを感知できるとは限らない
  • 家具・家電・荷物が邪魔になって測定箇所が限定されることがある
  • 壁の仕様(仕上げ材や下地材の種類等)によってはきちんと測定できないことがある
  • 筋交いの仕様(筋交いの厚み等)によってはきちんと測定できないことがある
  • 以上のことにより、筋交いセンサーを用いた耐震診断の結果が実際の建物の耐震性と相違する可能性がある

但し、図面がある場合の耐震診断(筋交いセンサーを用いない方法)でも、図面の記載内容が正確であるという前提にたって実施されるため、図面と建物現況に相違があれば診断結果と実際の耐震性に相違が出るのは同じです。

筋交いセンサー調査を検討してよい物件

前述したように家具・家電・荷物が邪魔になってしまうことから、基本的には空き家となっている物件に対して実施を検討した方がよいです。家具等がある住宅ならば、速やかにそれらを移動しながら調査しなければならないため、家具等の移動をしてくれる業者(引っ越し業者・便利屋など)を手配しておかないと難しいでしょう。

また、以下の条件に該当する壁は測定できないため、こういった壁がいくつもあるならば、この調査には向きません。

  • 室内壁がタイル張り、金属仕上げ、土塗り等なら測定できない
  • 筋交いと測定面の間に金属製の下地(ラス網など)がある壁は測定できない

筋交いセンサーを用いた耐震診断を検討するときは、ここであげたことをよく理解したうえで判断しましょう。

筋交いセンサーでの解析

耐震診断を依頼するときの注意点

耐震診断を依頼する上で特に注意すべき点を解説しますので、ここに挙げたことは必須事項と考えて確認したうえで依頼しましょう。

耐震診断の講習を修了した資格者に依頼すべき

耐震診断はその業務を行うための専門知識・技能が必要です。建築士だからといって簡単にできるわけではありません。もちろん、建築士でもないなら問題外です。

耐震性とその診断をするために必要な技能を習得するため、「一般財団法人 日本建築防災協会」の講習や、耐震診断を行う者として必要な知識及び技能を習得させるための講習(登録資格者講習)と同等以上の講習として国交大臣が認めた講習を修了した建築士に依頼してください。

そういった講習を修了した者が担当するかどうかは、その診断業者にずばり聞くとよいでしょう。

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なんちゃって耐震リフォーム

なんちゃって耐震リフォームに要注意

耐震診断をするにはその専門知識が必要ゆえに、その講習を受けた者に依頼すべきと述べましたが、工事を依頼する工務店・リフォーム業者についても同様のことが言えます。耐震改修工事(耐震リフォーム)をするのであれば、まずは耐震診断をして現状を把握したうえで工事計画を立てるべきですから、この流れで工事してもらわなければ、意味のない自称、耐震リフォームをしてしまうこともあります。

よく中古住宅の売買に際して住宅診断(ホームインスペクション)をしていますが、その物件の資料に「●年に耐震リフォーム済み」と書いているものの、どんな工事をしたのか詳細不明のうえに耐震診断をしていないということがあります。

本当に効果のある工事をしているのかも不明で、なんちゃって耐震リフォームだったということは多いです。耐震リフォームを謳う業者のなかには、資格者すらいないケースもあるので要注意です。

購入しようとしている中古住宅について、耐震リフォーム済みと聞いたときは、そのときの耐震診断の報告書と耐震改修工事の計画書の写しを見せてもらうようにお願いしてみましょう。これらがないという返事であったときは、根拠のない耐震リフォームである可能性が高いです。

不要な工事の提案に要注意

耐震改修工事をするとき、リフォーム業者が耐震性に関係ないにも関わらず必要な工事として提案してくることがよくあります。もしくは、耐震性に問題ないにもかかわらず補強を提案することもあれば、耐震性の確認をせず(耐震診断も何もせず)無意味な補強を提案することもあります。

耐震補強とか耐震リフォームという言葉が出てきたにも関わらず、きちんとした講習を受けた建築士による耐震診断をしないのであれば、信用できない業者である可能性が高いので別の業者を探す方がよいでしょう。

耐震計画の見直しも大事

解体してから耐震計画の見直しが必要

きちんと耐震診断をしたうえで補強計画を立てて工事を始めた場合でも、工事途中で補強計画の一部を見直すべきときがあります。それは、工事前には見えなかった部分において想定外のことあったときです。

耐震改修工事の最初に壁・床などの解体工事が入りますが、その解体によってそれまで目視できなかった箇所に新たな建物の問題点(構造部の著しい劣化や腐食、図面との重要な相違など)が確認されることがあるからです。そういった問題点の解決をせずに当初の工事計画を遂行しただけでは十分な耐震性能を得られないことは少なくありません。

解体したところで、現地調査をして補強計画の変更の必要性を考慮してから次の工事へ進むようにしましょう。十分な実績・経験のある耐震改修工事業者(工務店や設計者)ならば、こういうことも事前に説明してくれるはずですし、もしものときの予算変更の可能性についても説明を受けられるでしょう。

新築住宅の耐震診断は不要

耐震診断のいろいろな相談を受けているなかで、新築住宅の耐震診断を希望する人がいます。「購入予定の建売住宅で売主の評判がよくないから」「住んでみたら建物が揺れるので」といった具合で、それぞれの理由があって耐震性を心配しているようです。

新築住宅では、建築する前に設計者によって設計され、建築確認申請の手続きを経ていることから、基本的には耐震診断をする必要はありません。また、耐震診断も新築住宅に対して実施することを想定していません。

さらに、新築時に構造計算をしているのであれば、むしろ耐震診断をするよりも細かく構造について検討されていることがわかるので、より耐震診断は不要だと言えます。構造計算は3階建ての住宅ならば必ずやっているはずで、2階建てでも一部の住宅では実施されていることがあります。

「購入予定の建売住宅で売主の評判がよくないから」といった心配であれば、耐震診断ではなく住宅診断(ホームインスペクション)を依頼して施工不具合がないか見てもらうようにしましょう。「住んでみたら建物が揺れるので」ということならば、同じく住宅診断を依頼して床下や屋根裏の内部で構造部(金物の取付状況を含む)の施工状況を見てもらうとよいでしょう。

但し、建物は多少揺れるものであることも理解しておきましょう。特に3階建てや軽量鉄骨造では経常次第で揺れやすい建物も少なくありません。

耐震基準適合証明書で住宅ローン控除を受ける

耐震診断を利用する人の目的の1つに、住宅購入に際して住宅ローン控除を受けたいからというものがあります。一定の条件の物件では、耐震診断を実行して一定基準を満たしていることがわかれば発行してもらえる耐震基準適合証明書がないと住宅ローン控除を受けられないからです。

ここでいう一定の条件とは、建物の構造や築年数のことですが、「住宅ローン減税(控除)の為の耐震基準適合証明書」にて詳細を確認できます。耐震基準適合証明書については「耐震基準適合証明書のメリットと取得の仕方と注意点」に詳しく書いているので、ご覧ください。

この条件に該当する中古住宅を購入するなら、引渡しまでに耐震診断を依頼しなければならないので注意してください。但し、住宅ローン控除を受ける方法は耐震診断&耐震基準適合証明書だけではないので、耐震診断が難しい物件でもすぐにあきらめる必要はありません。

実は、既存住宅瑕疵保険に加入できれば、住宅ローン控除を受けられるのです。所定の検査を実施した結果、審査に不適合となることも多いため、必ず控除を受けられるわけではないですが、既存住宅瑕疵保険と耐震診断の両方を取り扱う住宅診断業者に相談するとよいでしょう。

耐震診断に関して、基礎知識から依頼の流れや注意点などを幅広く解説してきました。解説がこれだけ長くなるほどに必要な知識が多い所が難点ですが、これから長く暮らす住宅の耐震性や減税などに関わる大事なことですから読み返して理解に努めることをお奨めします。

耐震診断と住宅診断で安心できる住宅

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