住宅購入・建築の基礎知識
Last Updated on 2022-2-5
購入希望の住宅を見つけて、住宅診断(ホームインスペクション)を入れたいと申し入れしたときに、不動産会社や工務店から「住宅診断(ホームインスペクション)は不要」だと言われた人が読んでおくべき記事です。
不動産会社などの説明が本当かどうか、慎重に検討すべきところですから、注意してください。
新築住宅を購入するとき、契約前に住宅診断を利用する方は非常に増えました。大きな買い物ですから、建物の施工精度・欠陥の有無をできる限り確認していおきたいと考えるのは自然なことです。建築前や建築中の住宅を買うなら、建築中に検査しておきたいと考える方も多いです。
しかし、不動産会社や工務店などに「住宅診断(ホームインスペクション)をしたい」「検査を入れたい」などと伝えた際に、「○○○○だから、そんなことしなくても大丈夫」だと説明されることが少なくありません。その説明が本当であるか気になるところです。何しろ、売りたいと考えている方の説明ですから。
上の「○○○○」に使われる不動会社や工務店からの説明には以下のようなことが多いです。
これらの説明は本当のことなのでしょうか?上記は利害関係者による説明ですが、現実がどうなのか見ていく必要があります。その現実を以下で説明します。
不動産会社や工務店、ハウスメーカーが利害関係者であることは言うまでもありません。やはり、事実を知るためには検査の実例やトラブル等の相談件数の推移を見るのがよいでしょう。現実に起こっていることは以下のようなことです。
これが現実です。実際に多くの被害があり、検査で実例がいくつもあるという事実に注目して考えるべきでしょう。
「公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター」という住宅トラブルの相談をできるセンターがありますが、このセンターの発表では「新築住宅不具合等相談」の件数は年々増えており、2013年度の新築に関する相談件数は15,203件もあります。
※その後も相談件数は増え2018年に発表された2017年度の相談件数は18,004件に達しています(2019年6月追記)。
不動産会社等の「大丈夫」「必要ない」という説明との食い違いが明らかです。アネストで行ってきたホームインスペクション(住宅診断)における指摘の頻度は、凡そ以下のようなイメージです。
指摘の重要度 | 発生頻度 |
---|---|
軽微な指摘 | ほとんどの現場で指摘がある |
中程度の指摘 | 5~10回の検査に1現場程度 |
重大な瑕疵の指摘 | 10~20回の検査に1現場程度 |
アネストの検査で見つかった具体的な不具合の事例はこちらです。このように、瑕疵保険や性能評価などの制度では未然に防げない施工不良が多いのです。
売主や施工会社、不動産仲介業者などは購入の前後に検査(ホームインスペクション)が入ることを止めたいと考えていることが非常に多いですが、その理由はいくつかあります。
契約するまでは「買主の気が変わらないうちに早く契約したい」「他の業者が売ってしまわないうちに契約したい」と考え、契約した後は「できる限り手間を省いて引渡ししたい」と考える不動産会社や営業担当者は多いです。
こういった考えに合わせていては、買主は安心して適切な住宅取得ができません。大きな資金を投じるのは買主ですから、起こっている現実を見て、しっかり主張して新築一戸建て住宅診断(建売の診断)や引渡し前の検査(内覧会立会い)、またこれから建築するか建築中なら住宅あんしん工程検査(建築中の検査)をご利用ください。
前述の「新築住宅で起こっている施工ミス・不具合の相談件数の現実を見る」を見てもそうですが、実際に現場で確認される指摘事例を見れば、新築でも必要だということがよくわかるでしょう。
「住宅診断(ホームインスペクション)の指摘事例」を参考にしてください。
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