ホームインスペクションの前に点検口の設置箇所とサイズを確認

住宅を購入するときや点検するとき、リフォームするときなどに必要となるものの1つが、点検口です。建物の状態などを把握する上で重宝する点検口ですが、住宅購入時などに利用するホームインスペクション(住宅診断)を行う上でも大事なものだとされています。

ホームインスペクションを依頼する前に知っておきたい点検口の基礎知識のほか、点検口に関わる物件見学時の注意点などを紹介しますので、理解しておいてください。そして、ぜひ物件見学時の確認に活かしてください。

点検口は点検するためのもの

点検口はその名のとおり、点検するためのものです。点検の目的は、建物(構造部や設備など全て)の状態を把握するためです。

床下や天井裏、小屋裏を点検するためのものが多いですが、住宅によっては壁内を確認するための点検口が付いていることもあります。

点検口は、普段は見られない箇所において何らかの問題(雨漏り・結露・構造的な瑕疵や劣化など)が生じていないか確認するために必要なものですから、建物の管理・メンテナンスなどを考えていくうえでも非常に重要なものだと言えます。

建物のプランなどにもよるとはいえ、基本的には「点検口の無い住宅は買わない方がよい」と言っても過言ではないほど大事なものです。もちろん、購入する前に売主側で点検口を設置してもらえるようであれば、設置後に内部を確認してから判断してもよいでしょう。

ホームインスペクション(住宅診断)には点検口が大事

ホームインスペクション(住宅診断)では、新築工事の施工不具合の有無を確認したり、中古住宅の劣化状態を確認したりするわけですが、その調査項目のなかには、床下や小屋裏(屋根裏)の内部も含まれています。前述したように、床下も小屋裏も大事なスペースですから、依頼する人、購入する人としては、できれば確認してもらいたいものですね。

ただし、床下も小屋裏も点検口がなければ、物理的に確認することができないため、ホームインスペクションを依頼してもその内部状況までは確認してもらうことができません。

ホームインスペクションは、原則、現状のままで建物の一部を取り壊すことなく調査するものですので、点検口のように点検できる箇所がなければ、確認しようがないわけです。

物件見学の際は点検口の有無と場所をチェック

ホームインスペクション(住宅診断)を依頼する人にとって大事なことは、依頼する前に床下や小屋裏の点検口の有無を確認することだと言えます。

購入前の見学時に点検口の有無と場所を確認する

購入する住宅を決断する前には、当然ながら現地に見学へ行くはずです。その際に、必ず、点検口の有無やある場合の位置について確認するように心がけてください。点検口は上の写真のような形状をしていることが多いですが、わかりづらいこともあります。

たとえば、中古住宅の小屋裏は、押し入れ内部の天井を手で軽く押すと天井材がずれて、小屋裏を確認できることがあります。売主に聞くと教えてもらえることが多いものの、売主も把握していないということがあるので、注意してください。

床下点検口は、1階の床下収納庫が兼ねていることが多いです。床下収納を見つければ、その内部を覗いてみるとよいでしょう。ただし、収納庫の蓋をはずしても収納用のボックスがあるため、そのボックスも外さないとみることができません。

空き家での荷物などが無ければ容易に確認することができますが、居住中で荷物がある場合は、ご自身での確認は難しいかもしれません。

参考:建売住宅を見学時のチェックポイント

図面に記載していないこともある

点検口の位置は、多くの新築住宅においては設計図に記載されています。平面図(または平面詳細図)を売主か建築会社に提出してもらって確認してください。記載箇所が不明な場合は担当の営業の方に聞いてみましょう。

新築住宅でも、建売住宅である場合、一部の物件では売主側から提出される図面に点検口が記載されていないことがあります。図面に記載されていないものの、現地には点検口がある事例もよく確認されていますので、図面に記載が無い場合は売主へ事実確認してください。

中古住宅では、新築当時の図面を入手できるなら同じように確認してください。その図面がなく、不動産仲介業者が作成した簡易的な間取り図しかない場合は、点検口があっても記載されていないことが非常に多いです。点検口の有無は、不動産仲介業者に質問して確認してもらいましょう。

図面に記載された図面がないこともある

ごく一部の事例ではありますが、提出された図面には記載されているにも関わらず、現地を訪問してみると点検口がなかったということがあります。

新築時にプラン通りに点検口を設置することを忘れていたというケースもありますし、中古住宅の場合は、リフォームした際に点検口を無くしてしまったという事例もあります。よって、図面に記載されていたとしても、現地見学時には有無を確認しておくことをお勧めします。

ちなみに、アネストにホームインスペクション(住宅診断)を依頼したときに、点検口がなく、希望した床下や屋根裏内部の詳細調査(オプション扱いです)を実施できなかった場合には、そのオプション料金はかかりません。

点検口の設置箇所とサイズ

「点検口は、どういうところに設置されていることが多いか?」と質問を受けることがあります。ある程度は、候補があるものの、最近はいろいろな箇所で点検口が確認されることがあるため、あまり先入観をもたずに探す方が良いと考えられます。

床下点検口の位置

床下収納庫兼用の点検口

最も多いのは、キッチンの床下収納庫が点検口を兼ねているケースです。キッチン以外にも1階に床下収納があるならば、そこが点検口を兼ねていることが多いです。その他には、収納(クローゼット等)や洗面室の床で点検口が見つかることも少なくありません。また、和室の畳下で見つかることもあります。

古い中古住宅であれば、畳下の下地材が釘などで留められておらず、そこから床下を調査できることもあります。

屋根裏(小屋裏)点検口の位置

最も多いのは、収納(クローゼット等)の天井ですが、他にもいろいろな箇所で見るかることがあります。洗面室や居室の天井に着いていることもよくあるので、天井をよく見て探してください。

浴室に天井点検口が着いていることが非常に多いものの、この点検口はあまり広範囲に確認できないことが多く、そもそも人が進入できないことも多いです。

屋根裏収納がある場合、そのスペースの壁に点検口が設置されていることがあり、そこから屋根裏内部を調査できることもあります。

天井点検口

以上のように、点検口とは物件によっていろいろなところに設置されていてわかりづらいこともあるため、基本的には売主や建築会社、不動産仲介業者に聞いて教えてもらい、実際に現地でその場所にあるか目視確認するとよいでしょう。

点検口のサイズ

点検口からの点検方法としては、点検口から覗き込んで目視することもあれば、点検口から床下や小屋裏へ潜っていって調査することもあります。こういった作業をするために適切なサイズというものがあるので、点検口のサイズも把握しておいたいものです。

一般的に住宅の床下や小屋裏(屋根裏)の点検口として多いのは、45cm×45cmのサイズです。このサイズならば、覗き込んで目視するだけではなく、内部へ潜っていくこともできます(ただし、床下等に人が進入できるスペースがある場合)。

大きめのサイズであれば、60cm×60cmのものもあります。もちろん、このサイズでもよいですね。逆に小さいものだと30cm×30㎝というサイズのものもあります。このサイズでは覗きみるのもやりづらいですし、潜っていくのは非常に難しくなります。

ここであげた3点のサイズ以外のものもありますが、目安としては45cm×45cm以上のサイズのものが欲しいというところです。

点検口が大事なものであること、ホームインスペクション(住宅診断)にとっても大事であるということ、そして見学時に位置とサイズを確認しておくべきことを理解しておきましょう。

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執筆者

アネスト
アネスト編集担当
2003年より、第三者の立場で一級建築士によるホームインスペクション(住宅診断)、内覧会立会い・同行サービスを行っており、住宅・建築・不動産業界で培った実績・経験を活かして、主に住宅購入者や所有者に役立つノウハウ記事を執筆。