首都圏の新築・建売住宅の価格動向

首都圏のマンション価格が高騰していましたが、前回のコラム(気になる首都圏の中古マンションの価格動向。遂に潮目が変わったか?)で書いたように、地域・条件によっては下落も見られるようになりました。不動産価格に変化の兆しを見られる状況です。

一方で、建築費の高騰などによって、新築の建売住宅の価格も上がってきましたが、マンション価格ほどには上昇しておりませんでした。

ここで気になるのは、建売住宅の価格がどのようになっているのか(上昇傾向か、横ばいか、下落傾向か)という点ではないでしょうか。

今回のコラムでは、東日本不動産流通機構(レインズ)や民間調査機関の最新データをもとに、2026年の首都圏における新築建売住宅の価格動向を解説します。

首都圏の新築一戸建て住宅のデータをチェック

東日本不動産流通機構(レインズ)が公開している統計から見えてくることを確認してみましょう。

価格は上昇傾向

首都圏の新築一戸建て住宅の成約データを見てみると、2025年1月から2026年9月まで、そのほとんどの月において、前年同月比でプラスになっています。つまり、価格が概ね右肩上がりの状況が続いています。2025年11月は、前年同月比でマイナス9.1%と大きく下げていますが、全体としては上昇傾向です。

こういったデータは、1か月だけ見ても、何らかの特別な要因に左右されている可能性があるため、せめて3か月以上のスパンで見る必要がありますが、そういう意味では、明らかに上昇傾向です。

成約件数にブレーキか?

次に、成約件数を見ていきます。成約件数とは、実際に売買が成立した件数ですから、売れ行きを確認することができます。

この成約件数は、2025年1月以降にシステム改修の影響でデータに影響を与えている可能性を東日本不動産流通機構が発表していますので、長いスパンで比較しづらく、わかりづらい状況です。

2026年に入ってからのデータでは、1月から5月までの期間は、前年比10~26%の範囲で増加しています。その後の6月は6.2%増、7月は3.7%増と増加傾向にブレーキがかかり、8月はマイナス4.0%、9月はマイナス21.7%となり、はっきりとマイナスへ転じました。

ただし、前述したとおり、システム改修の影響があり、その影響の内容がはっきりしないため、これだけで判断しづらい状況です。

新規登録件数(新規販売件数)はずっと減少傾向

新規登録状況も見ていきましょう。新規登録状況とは、その月に新たに販売物件として登録された物件の状況ですから、新たに販売開始した件数を確認することができます。

このデータは、2025年1月以降、2026年9月までのほとんどの月において、マイナスとなっています。10%以上のマイナスとなっている月が7カ月もありました。

在庫の減少傾向がストップか?

最後に、在庫状況を確認しましょう。

在庫状況とは、簡単に言えば、現在販売中の物件数です。ということは、成約件数にブレーキがかかってきて、新規登録件数が減少傾向なわけですから、なんとなく想像できる結果ですね。

念のためデータを見てみましょう。2025年1月以降、2026年8月まで一貫してマイナス、つまり在庫が減っています。ずっと二桁マイナスが続いていたのですが、2026年6月以降は一桁マイナスとなり、9月は0.6%のプラス(増加)となりました。

新規登録件数の減少が続いているとはいえ、成約件数が減少に転じた影響で、在庫減少にブレーキがかかっているようです。

ちなみに、在庫件数(販売中の物件数)を見ると、2026年9月時点で約14,000件もあります。都県別の内訳は以下のとおりです。

地域在庫件数
東京都3,505
埼玉県3,797
千葉県2,629
神奈川県4,146
都県別の在庫件数

今後の価格はどうなるか?

首都圏の中古マンションの価格には下落傾向が出ていますが、新築戸建ての成約価格については、下落傾向が出ていません。むしろ上昇傾向が続いている状況です。

成約件数が今後も減少した場合、価格調整(下落)に向かう可能性も考えられるのですが、在庫の減少傾向に歯止めがかかってきた可能性があること、建築費が高止まりしていることから、中古マンションのように価格下落とはいかない可能性が考えられます。

実際に在庫物件の価格も前年比で上昇が続いている状況です。

特に建築費の高騰は、建売住宅の供給事業者にとっては厳しい環境にあると言えます。建築費の上昇分を販売価格に上乗せしても高すぎて売りづらくなり、だからといって下げることも難しく、リスクが高い事業となってきました。その上、住宅ローンの金利上昇により、購入者の実質負担額がさらに増えていることも成約件数にブレーキがかかる要因となっていることは間違いないでしょう。

価格の高止まりと新規販売件数の低迷は続くのではないでしょうか(低迷と言っても十分に多い件数ではありますが)。

一方で、当社が行っているホームインスペクション(住宅診断)サービスの利用者は増え続けています。住宅購入者の間で広く普及し、一般化が進むペースが成約件数の鈍化、減少を超えている印象です。

アネストの住宅インスぺクション
施工不具合や劣化状態を専門家が診断するサービス

執筆者

アネスト
アネスト編集担当
2003年より、第三者の立場で一級建築士によるホームインスペクション(住宅診断)、内覧会立会い・同行サービスを行っており、住宅・建築・不動産業界で培った実績・経験を活かして、主に住宅購入者や所有者に役立つノウハウ記事を執筆。
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ホームインスペクション

住宅の購入・新築・リフォーム時などに、建物の施工ミスや著しい劣化などの不具合の有無を調査する。実績・経験・ノウハウが蓄積された一級建築士の建物調査。プロを味方にできる。