新築一戸建て住宅(建売住宅)を購入、または注文建築の家を建てたとき、引渡し前に行われる大事なイベントが竣工検査です。
この竣工検査について正しく把握していないまま、住宅の引き渡しを受けてしまい、入居後に様々な建物の不具合に気づいた人から後悔した話を聞くことも多いため、新築住宅を買う人ならきちんと学んでおきたいテーマです。
この記事では、新築住宅の竣工検査の基礎知識とその重要性、専門家による立会いについて解説しています。できれば、引渡し前に学んでしっかり対策をとっておきましょう。なぜなら、竣工検査は失敗が許されない大事なイベントだからです。
新築住宅の竣工検査とは?
新築住宅における竣工検査とは、何かについて解説します。
竣工とは
まず、竣工とは、建物の完成のことを指しています。
建築会社によっては、建物本体だけで竣工と言っていることもあれば、外構工事など受注した工事全ての完了をもって竣工と言っていることもあるため、「竣工の予定日が12月下旬です」などと説明を受けた時に、建物本体だけのことなのか、外構工事などの完了も含めて話しているのか突っ込んで聞いておく方がよいでしょう。
竣工検査とは
次に竣工検査の説明です。
建物が竣工した直後に、施工不具合がないか確認するために行う検査を竣工検査と言います。建てた建築会社が自社検査として行う竣工検査、工事を発注した施主が行う竣工検査、さらには住宅の買主が行う竣工検査もあります。
建売住宅では、下請けの建築会社が竣工検査を行うものの、その工事発注者(=建売住宅の売主)は検査していないこともあります。工事も検査も下請けに丸投げということですが、本来はきちんと竣工状態で確認すべきものです。
注文建築の施主、もしくは建売住宅の買主は、一般消費者ということになりますが、この施主や買主が建物完成後に行う検査も竣工検査と言いますが、内覧会や確認会などの別の呼称を用いていることも少なくありません。いずれにしても、施主や買主にとっても大変大事な機会であることを理解しておきましょう。
この竣工検査は、注文建築の場合は施主検査とも言われます。また、完成検査ということもあります。いくつも見たような呼称があり、少し複雑ですね。
竣工検査で失敗しないための知識
注文建築の施主、もしくは建売住宅の買主が、新築住宅の竣工検査について知っておくべきことを解説します。
竣工検査のタイミング(引渡し前は大事)
新築住宅の竣工検査を行う適切なタイミングは、建物が完成後、引渡しを受けるまでの間です。そして、遅くとも引渡し日の7日ほど前までには行っておきたいものです。
7日前までをお勧めする理由は、竣工検査の際に施工不具合を指摘した後に、それを補修してもらってから引渡しを受ける必要があるからです。
以下が、竣工検査や引渡しの適切な流れです。
ここに記載しているように、竣工検査を実施しただけで満足せず、その後の補修工事の確認もきちんとしておきましょう。補修後の状況を現地で確認するか、建築会社より写真提出をするようお願いするとよいでしょう。
竣工検査に必要なもの
初めての竣工検査で慣れないことも多いでしょう。まずは、当日持参するものを準備することからはじめたいものです。持参すべきものは以下のものです。
- 筆記用具(ペン・メモ用紙など)
- 間取り図(指摘箇所は間取り図に記録するとわかりやすい)
- デジカメまたはスマホ(大事な指摘箇所を撮影するため)
- メジャー(採寸のため)
- 懐中電灯(床下や屋根裏のチェックのため)
- スリッパ(冬場は寒い)
新築の引き渡し前に行う竣工検査へ専門家が立会い
注文建築の施主、もしくは建売住宅の買主の皆さんから、「竣工検査に立ち会って欲しい」とご依頼をいただくことがよくあります。施工不具合の有無を自分たちだけで見抜くことは難しく、建築の専門知識・経験が問われるだけに、専門家へ同行依頼するニーズは多いです。
アネストでは2003年から竣工検査の立会いを行っており、実績が豊富です。その竣工検査立会いの内容を説明します。
竣工検査立会い = 内覧会立会い・同行
新築住宅の完成後、引渡し前の立会いのことを、アネストでは「内覧会立会い・同行(竣工検査・完成検査)」と名付けています。施主や買主が行う竣工検査を内覧会と呼ぶことが多いことに由来しています。
チェックポイントは270箇所超
竣工検査で確認するチェックポイントは、270箇所超もあります。
その範囲は、建物外部の基礎・外壁・軒裏・屋根、外構工事(フェンス・塀・駐車場等の土間コンクリートなど)、建物内部の床・壁・天井・建具・設備など多岐にわたりますが、簡単に言えば、目視できる範囲の全てが対象となります。
ただし、誤解してはいけないこととして、施工不具合の有無の確認であって、仕様レベルの良し悪しを確認や、構造・機能面で影響のない細かな傷チェックではないという点です。
仕様レベルは、売主と買主、または施主と請負者が事前に、互いに取り決めておくべきものであって、第三者が後から勝手に決められるものではないからです。「もっと良い材料を使ってください」などとは言えないわけです。
また、構造や機能面で問題のない細かな傷や汚れなどは、美観上の問題があるかもしれませんが、そういった問題に第三者が明確に適否を判断できるものでもありません。ただ、施主や買主としては、気になる箇所を建築会社などへ指摘して可能な範囲で対応してもらうことを否定するわけでもありません。
一級建築士で住宅の設計・監理の経験も豊富なものが立ち会う
新築住宅の竣工検査ですから、必要な経験は新築住宅の設計や監理です。商業ビルやマンションの経験がいくら豊富でも一戸建て住宅の経験がなければ、担当すべきではありませんね。
一級建築士であることは、アネストでは最低基準の1つですが、経験内容・質も最低基準の1つです。マニュアル・チェックリストもありますが、それだけで対応しきれるものではありません。
立会いの所要時間
新築住宅の竣工検査は、一般の人だけで行うと1時間もかからずに終えてしまうことが多いです。これは、チェックポイントがわからない、もしくはポイントをわかっても味方や判断の仕方がわからないからです。なんとなく見てすぐに終わってしまうわけです。
専門家が行うときは、100平米・2階建ての住宅で、2~2.5時間くらいです。床下や小屋裏(屋根裏)の内部の調査(オプション)もつけると3.5時間くらいです。規模や指摘事項の量、建物プランなどによっては、4時間を超える現場も少なくありません。
調査項目・チェックリスト
専門家が見ているチェックポイントの具体的な内容は気になりますよね。ここで項目名を列挙すると大変な量になりますので、別紙(アネストへ依頼したときに提出される報告書のサンプルPDF)にて確認できるので、ぜひご覧ください。
以上、新築住宅の引き渡し前に行われる竣工検査や竣工検査への立会いについて、解説しました。
引き渡しを受ければ、その住宅の所有権があなたに移ります。それ以降は、多くのことが自己責任にもなりますし、引渡し時に売主や建築会社へ代金を支払った後は、対応が悪くなってしまう業者もいることから、引渡し前の竣工検査が大事なのです。
その大事なタイミングを無駄に過ごすことのないように、しっかりした対策をとって竣工検査にのぞみましょう。できれば、専門家に立会い依頼して安心を得ることも検討しましょう。
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