狭小地の中古住宅を購入するメリット・デメリット

東京や大阪など、都市部で中古住宅を購入する人の中には、狭小地に建っている中古住宅を購入する方も多いでしょう。

狭小地、つまり比較的小さめの土地に建っている住宅だけに、その特徴も明らかですが、そのデメリットについて心配する声も少なくありません。きちんと、メリットとデメリットを理解した上で購入判断すればよいことでもあるので、ここで解説しておきます。

なお、ここでは、土地の面積が20坪程度までの大きさをイメージして記事を書いておりますが、人によって解釈が異なることはご理解ください。

狭小地の中古住宅のメリット

まずは、狭小地に建つ中古住宅を購入するメリットを見ていきましょう。どのような物件でもメリットもデメリットもあるものです。

売買価格の安さ(購入しやすい)

狭小地、つまり土地が小さいということは、その地域の住宅としては価格が安いことが多いです。人生のなかでも高い買い物ですから、価格を抑えられるメリットは大きいですね。

敷地の維持・管理が楽

敷地が広い土地では、庭の管理が大変です。雑草の処理などが嫌でマンションに引っ越す人もいるくらいです。

土地が小さいことで、固定資産税も抑えられるため、維持費も安いと言えるでしょう。

利便性の高い立地が多い

狭小地は、都市部又は都心に近い立地である物件が多いです。スーパー・駅・バス停などに近く、生活・通勤などに便利な立地の物件を見つけやすいということは、メリットです。利便性と大きさは、同じ予算のなかで同時に考えるべきことだと言えるでしょう。

狭小地の中古住宅のデメリット

狭小地の中古住宅を購入する際には、以下のようなデメリットが考えられます。これらを許容できることか、想定していたことか確認しておきましょう。

広さ・部屋数・駐車場の問題

狭小地の中古住宅は、敷地が狭いために建物面積も小さくなりがちで、結果として各居室の広さも制限されることになります。部屋の数や広さが、あなた自身にとって問題ないものかしっかり確認してください。また、駐車場がないことや、あっても軽自動車を置くくらいのスペースしか確保できないことも多いです。

増築が困難

狭小地の中古住宅は、土地の面積が限られているため、将来的に住宅を増築したいと考えても、その実現が難しいことが多いです。増築や改築には、法令等による制限があり、敷地の狭さとの関係で増改築が無理なこともあるのです。

参照:増築している中古住宅を購入するときのチェックポイント

外壁のリフォームが困難

狭小地の住宅では、建物の周囲のスペースが狭いために、建物の横や裏側へ人が入れないことがあります。人が入れない場合、外壁や基礎などの状態を確認しづらいですし、何か問題(雨漏りなど)があったときに対応しづらいというリスクがあります。

外壁や屋根をリフォームしたくても足場を設置できず、工事方法に制限がかかることも少なくありません。

ホームインスペクション(住宅診断)の確認範囲の制限

中古住宅を購入するときなどには、専門家によるホームインスペクション(住宅診断)を利用することが多くなりましたが、外壁のリフォームと同じで、建物の周囲(横や裏)へ人が入れないために、十分に外壁・基礎などを診断できないことも少なくありません。

診断範囲が制限されるということは、建物の不具合の発見が遅れるということになります。

参照:ホームインスペクションとは?

日当たり・通風

狭小地の住宅では、しばしば日当たりと日照が問題になります。その住宅だけが狭小地というよりは、同規模の住宅が密集していることが多いため、周囲の建物の影響も受けやすく、結果的に良好な日当たり・通風を望めないことが多いです。

敷地内の地面がいつもジメジメしているとか、湿気を感じるという意見を聞くこともありますので、見学時には意識して状態を確認しておくとよいでしょう。

騒音・プライバシーの問題

狭小地の住宅ゆえに、隣の家との距離が大変近く、生活音や会話などが聞こえる機会が多いことがあります。夫婦喧嘩や親子喧嘩が隣の家に筒抜けになっていることもあります。前の道路を歩く人にも聞こえていることもあります。

逆に周囲の音・声が聞こえやすいとも言えます。騒音・プライバシーのことは考慮に入れておきましょう。

マンションなら隣戸と壁1枚だから気にしないと考えている人もいます。しかし、鉄筋コンクリート造のマンションよりも狭小地・密集地の住宅の方が、音が聞こえるケースもあるので注意しましょう(建物の仕様によって差異は小さくありません)。

周囲の火災の延焼リスク

周囲の建物と近いということは、火災が発生したときに周りの住宅へ延焼していくリスクが高いということになります。特に古い木造住宅が密集するエリアでは、火災が広がるスピードも早いことがあり、十分に注意する必要があります。

また、そういうエリアでは、道路が狭くて消防車が入りづらいこともあって、そのような条件である場合は、消化活動が遅れる可能性が考えられ、延焼リスクはさらに高いと言えます。

まとめ

住宅を購入するときの大事なポイントの1つは、デメリットを把握して、それを許容できるかどうかです。メリットは把握していてもデメリットのことをあまり考えていなかったという意見は意外と多いものです。

どのような住宅にもデメリットはあるわけですが、それが想定していたことなのか、それとも想定外のことなのかで将来の後悔となるかどうかが違ってきますね。購入する前に参考になれば幸いです。

中古一戸建て住宅診断(ホームインスペクション)
中古住宅のホームインスペクション

執筆者

アネスト
アネスト編集担当
2003年より、第三者の立場で一級建築士によるホームインスペクション(住宅診断)、内覧会立会い・同行サービスを行っており、住宅・建築・不動産業界で培った実績・経験を活かして、主に住宅購入者や所有者に役立つノウハウ記事を執筆。