事例(6)新築一戸建て住宅診断(ホームインスペクション)

アネストで実施したホームインスペクション(住宅診断)の事例のご紹介の第6弾で、新築一戸建て住宅診断(ホームインスペクション)サービスの事例です。

新築一戸建て住宅診断(ホームインスペクション)サービスとは、新築住宅の購入前にご利用頂き、診断結果を購入判断の参考として役立てて頂くもので、売主の了承を得てから申込頂きます。購入前に住宅診断(ホームインスペクション)の了承を得られるものかと心配される方も少なくないですが、ほとんどの売主が許可されます。

逆に許可されない売主であれば、その物件に自信がないのかと心配するものですね。

今回の対象物件は、兵庫県にある木造壁組工法の一戸建て住宅です。全ての調査項目を取り上げるのは難しいので、インスペクションで見て項目の一部を取り上げています。

床下の調査

床下の調査は、基礎などの主要な構造部分をチェックできるほか、断熱材の施工状況や配管などもチェックすることができる重要な箇所です。

給水管・給湯管

上の写真は床下点検口から診断担当の一級建築士がのぞいて見た箇所の1部で、給水および給湯管です。給水管や給湯管は保温材で巻いているものですが、配管の接続部において保温巻に隙間がありました。保温効果が下がりますから補修が必要です。

床下の様子

他に床下で確認した基礎コンクリート等の構造部分、断熱材、排水管の施工は丁寧なもので安心できるものでした。排水管は勾配(詰まらずに流れるように)や固定金物(ぐらつくと配管のはずれ、漏水等のリスクがある)の確認も大変大事なものです。

基礎コンクリートは、構造的に影響のないわずかなひび割れ(クラック)が生じることも多いのですが、この物件では仕上がり状態は非常に良いものでした。

ユニットバスの天井点検口

ユニットバスには天井に点検口があります。2階建ての1階天井裏には点検口が無いことが多いものですが、ユニットバスが1階にある場合はここから天井裏の一部を確認することができて便利であり、重要なものです。3階建てであれば1階か2階にユニットバスがあれば天井裏を確認することができますね。

天井裏

天井裏を確認したところ石膏ボードが必要な箇所に施工されており(これが無いことが多い)、ダクト等にも問題はなかったのですが、電気配線の固定を養生テープで行っていたため時間の経過で剥がれ落ちることが懸念されました。大きな問題とはなりませんが、こういったところも念のために対応を要望することになりました。

屋根裏点検口が無い

住宅診断(ホームインスペクション)をする上で大事な調査対象範囲は、これまでにあげてきた床下や天井裏ですが、屋根裏(小屋裏)も非常に大事です。金物の設置状況も含めた構造部分や断熱材の施工状況、さらには雨漏り痕の有無も確認することができます。

新築を診断するのに雨漏りはないだろうと思われるかもしれませんが、完成直後に雨漏りしている住宅には何度も遭遇しています。劣化による雨漏りではなく、新築工事の施工ミスによる雨漏りであれば新築時点で生じることもあるのです。

今回の住宅の最大のネックは、この屋根裏を確認するための点検口がないことでした。屋根の形状によっては屋根裏のスペースが無い、もしくはほとんど無いことから点検口を設けない住宅もあります。本当は狭いスペースでも点検口を設けておきたいところですが。

しかし、今回の住宅では屋根裏のスペースが広いことから、点検口を設けない理由が見つかりません。設計する際に、将来の点検のことをあまり考えていなかった様子が感じとれますね。点検口の無い住宅を購入する場合、できれば購入前に点検口の設置を売主に要望して売主負担で設置して頂くことがお奨めです。

これにはなかなか対応してもらえないことも多いですが、他に購入規模者がいないときなどは対応してもらえる可能性はありますから、あきらめずに要望してもよいのではないでしょうか。

無理な場合、その条件で購入するかどうか判断することになりますが、購入するのであれば、引渡し直後に点検口を設置して内部を確認することをお勧めします。引越し前に確認するのがよいでしょう。

今回の住宅診断(ホームインスペクション)では、建物の施工状況は良いものでしたので、点検口がないことだけは残念でした。

新築一戸建て住宅診断(建売のホームインスペクション)

執筆者

アネスト
アネスト編集担当
2003年より、第三者の立場で一級建築士によるホームインスペクション(住宅診断)、内覧会立会い・同行サービスを行っており、住宅・建築・不動産業界で培った実績・経験を活かして、主に住宅購入者や所有者に役立つノウハウ記事を執筆。