デザイナーズ住宅は大丈夫?

アネストでは、数多くのホームインスペクション(住宅診断・住宅検査)をしていますが、その調査実績のなかで、「雨漏りしたので調べて欲しい」という依頼も少なくありません。そういった住宅の検査に伺いますと、中小零細の工務店が建てた住宅だけではなく、大手ハウスメーカーが建てた住宅も少なくありません。

それらのなかでも多いと感じるのは、「デザイナーズ住宅」です。

「デザイナーズ住宅」といっても、それは売り手がそうPRしているだけで実態はいろいろあり、それほど細部にこだわりを感じさせるデザインではないものも多いです。

いずれにしてもデザイン性を重視しすぎるあまり、機能面や安全面などの実用的な部分を犠牲にし過ぎていることが少なくありません。

住宅の建築では、デザイン性と実用性の両方のバランスが非常に大事だと思いますが、デザインに偏ってしまった場合に、後々、問題が生じ易いようです。特に、無理な設計から雨漏りが起こることが多いです。

もちろん、雨漏りに限るわけでもありません。設計(デザイン)を要因とした床のたわみなどの症状がある住宅を診断したことは何度もあります。

デザインを手がけた建築士が監理していることはよくあることですが、経験が浅いからなのか、能力的に無理だからなのか、デザイン以外への意識が低いからなのかわかりませんが、適切な工事を行うように監理できていないケースをよく見かけます。

なかには、デザイナーとして名前を提供しているだけで、現場に1度も足を運ばない人もいます。

「建築家 ○○○○ によるデザイン!」などと謳っていて、そのデザインが気に入ったとしても、実用面がどうなのかはしっかりチェックしたいところです。

もちろん、デザイナーズ住宅の全てがダメなわけではないことも付け加えておきます。むしろ、構造・全体のバランスなどをしっかり考慮している住宅は多いのです。

新築一戸建て住宅診断(建売のホームインスペクション)

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執筆者

アネスト
アネスト編集担当
2003年より、第三者の立場で一級建築士によるホームインスペクション(住宅診断)、内覧会立会い・同行サービスを行っており、住宅・建築・不動産業界で培った実績・経験を活かして、主に住宅購入者や所有者に役立つノウハウ記事を執筆。